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日記

まるで追悼番組 女子レスリング吉田沙保里選手オリンピック4連覇ならず

2016年8月18日(日本時間19日)、リオデジャネイロオリンピック、女子レスリング53キロ級に出場した吉田沙保里選手が2位となり銀メダルを獲得した。

客観的に書けばこれだけのことなのに、ニュースにしろ、バラエティ番組にしろ、オリンピック特番にしろ、どうしてあそこまでお涙頂戴物語風の仕立てで報じなければならないのだろうか。

おそらく、お涙頂戴物語にした方が視聴率が稼げるのだろう。

また、「自分たちマスコミが4連覇への期待を煽りすぎてしまい、それがプレッシャーとなって吉田選手が負けたのかもしれない」という後ろめたさが、あのような番組構成の背景にあるのかもしれない。

いずれにしろ、見ていてうんざりした(といいながら見ている自分には呆れるが)。

誤解されては困るので念のために述べておくが、吉田選手はよくやったと思うし、本人はそうは思っていないようだが、私は銀メダルでもとてつもなく立派だと思っている。また、オリンピック3連覇をはじめとするこれまでの実績も掛け値なしに凄いことだと思う。

要するに、吉田選手の実績や今回の結果に関しては、私も多くの日本人と同じ気持ちなのだ。

だが、「そういう気持ちをみんなで共有しましょう。あなたも私も吉田選手は立派だ、よくやったと思っていることを確認しあいましょう。そして、その思いを共に吉田選手に届けましょう」というスタンスを押しつけられるのは御免蒙りたい。

普段はレスリングに大した関心を寄せているとも思えないキャスターやコメンテーターが「女子レスリングがここまでになれたのは吉田選手のお陰だと言っても過言ではありません」「吉田選手、胸を張って帰ってきて下さい」「感動をありがとう」などとがなり立てれば立てるほど、こちらの気持ちはしら~となってしまう。

中には涙ながらに訴えるコメンテーターまでおり、これじゃまるで吉田選手の追悼番組じゃないか。

銀メダルだったという事実に加えて、過去の実績や亡くなったお父さんのことに触れるのが悪いこととは思わない。また、今回金メダルを獲得した若手を筆頭に、多くの少女たちが吉田選手に憧れてレスリングを始めたことも事実だろう。

だったらそういうことを、「感情がたっぷりこもった臭いセリフ」に頼ることなく、もう少し上手に伝えてくれないものだろうか。

この日の観客席では、前日金メダルを獲得した同僚、後輩たちも観戦していた。オリンピック4連覇を達成した伊調選手の無念さが滲み出た表情や、子どものように泣きじゃくる登坂選手の姿を淡々と映し出してくれた方が、吉田沙保里という選手の偉大さや影響力の大きさが余程心に沁みてきたと思う。

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