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エッセイ

七五三 穏やかなお参りと戦場のごとき記念撮影

フェイスブックを見ていると、「ちょっと早いですが七五三のお参りに行ってきました」という投稿がちらほらと見られるようになってきた。

本来は11月15日に行われる行事なので1カ月以上も早いということになるのだが、対象のお子さんが全員その日に神社に押しかけると相当に混雑するだろうから、むしろタイミングをずらした方が賢明と言えそうだ。

こんなことを書きながら、そういえばうちはどうだったかなと思い出そうとするのだが、わずか1年前のことなのに、11月15日よりも前にお参りしたのか、それとも後だったのか、まるで思い出せない。

はっきりしているのは11月15日ではなかったということだけで、自分自身あまり日にちにはこだわっていなかったことがわかる。

日にちをずらしたうえに、場所も自宅から一番近い小さめの神社(安産祈願も、お宮参りも、毎年の初詣もいつもここだ)だったおかげで、ご祈祷を受けるのはわが家だけ。ゆったりと落ち着いた雰囲気の中で、我が子の成長をしみじみとかみしめるとともに、親としての自覚や責任感を新たにすることができた。

一方、日を改めて写真館で行った記念撮影の方は、これとは打って変わって戦場さながらの慌ただしさとなった。

4歳10ヶ月の息子シオンは着たくもない衣装を着せられ、とりたくもないポーズをとらされているうちに、だんだんご機嫌が斜めになっていき、なかなか撮影に協力してくれない。

「そうそう、そのまま動かない。動かない! う・ご・か・な・い!!!」

「そのままでカメラのここ見ててね、あ、そっちじゃなくて、ここ、ここ。ほらぁ~、こっちだよ~、シオンく~ん!」

「はい、ちょっとだけ足開いてね、あ、あ、あ、そんなに開かない! そんなに閉じないっ!」

スタジオ内に、カメラマン、アシスタント、父、母の叫び声が間断なく轟き渡る。

シオンはといえば、カメラの後ろの大人たちがおろおろした表情で叫びまくっているのが面白くなってきたのか、わざと言われたことと違うことをやって、げらげらと笑い出す始末。

何とか使い物になりそうな写真を数枚撮り終えるまでに、優に1時間以上かかってしまった。

穏やかなお参りと戦場のごとき写真撮影。毎年七五三の季節を迎えるたびに、これからも懐かしく思い出すことだろう。

3歳の七五三。妻の故郷、沖縄を訪ねた折に撮影(このときも戦場)。
3歳の七五三。妻の故郷、沖縄を訪ねた折に撮影(このときも戦場)。
5歳の七五三。
5歳の七五三。

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