先日親子三人で、東宝映画『シン・ゴジラ』を見にいった。
見所や印象に残ったシーンは三人三様だったが、三人とも大いに満足して家路につくことができた。
その帰り道でのこと。車の後部座席に乗ったシオンが、「ねえ、粘土買っていい」と尋ねてきた(注:この場合の「買っていい」とは「買ってちょうだい」の意味である)。
「粘土? 何か作るの?」
「オレ、ゴジラ作りたくなった」
時刻はすでに夕方六時を回っており、その上この日は近所の神社で開かれるお祭りに行くことにしていた。さすがに今日は無理なので明日ね、ということでシオンも納得。
翌日は午後一時からシオンの出場する空手大会が行われ、四時過ぎに終了。そこから最寄り駅のショッピングセンターへ行き、油粘土、粘土板、へら、粘土ケースを購入する。粘土を買うなんて四十数年ぶりなので、品物を選んでいるうちにこちらまでワクワクしてきた。自分が作るわけではないのだが、帰宅するのが待ち遠しかった。
さて、帰宅後にシオンが作ったゴジラがこちら。
映画のゴジラとそっくりかと言われれば、ノーと答えるしかない。
だが、似ているかどうかはともかく、何とも味のある、そして今にも動き出しそうなゴジラではないか。
制作時間はおよそ十分。『シン・ゴジラ』に触発された小学二年生の創作意欲が、油粘土に命を注ぎ込んで行く。何の迷いも躊躇もない鮮やかな手さばきを見ていると、我が子ながらすごいもんだと感心させられた。
この子が将来どのような職業につくかは分からない。だが、どんな職業を選ぶにせよ、ゴジラを作っているときと同じぐらいの集中力で、やるべきこと、なすべきことにひたすら没頭できるような、そんな仕事を見つけてほしいものだ。