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エッセイ

泳いで、泳いで、泳いで、寝て、寝て、寝た、ハワイの旅

1カ月ほど前の投稿で予告したとおり、11月日から15日まで家族でハワイを旅してきた。

旅してきたと書いたが、現地での移動はほとんどなく、もっぱら海かプールで泳いでばかりいた。

これまで夫婦でハワイを訪れた際には、妻の意向で日本を発つ前から大まかなスケジュール(何日目の何時頃にはどこで何をする)を決めていたものだが、今回は息子シオンがやりたいこと、行きたいところを優先しようということになり、友人一家とのディナー以外は一切事前の予定なしという旅となった。

毎朝起きて、シオンに「今日はどうする? 何がしたい?」と尋ねる。

するとシオンは、目をきらきら輝かせて「泳ぐ!」と答える。

「どこで泳ぐ? ビーチ? プール?」

「最初は海! お昼ご飯食べたらコンドミニアムのプール」

こんな調子で、まるで水泳部の合宿のように、ただただ泳ぎ続けたハワイであった。そして、ただただ泳ぎ続けた今回の旅が、これまでで一番くつろげて楽しい旅となった。

私はもともとゆったりしたいタイプなので、旅行に行ったからといって、観光スポットを巡ったり、ガイドブックで評判の店を訪ね歩いたりといったことを、あまりしたいとは思わない。

だがこれまでは、そういうことの好きな妻に引っ張られて、さまざまな名所や有名スポットに足を運んできた。もちろん、それはそれで楽しかったし、行ってよかったと思うところがほとんどなのだが、私の好む「ゆったりとした旅」とは趣を異とすることもまた事実であった。

そこへ行くと、今回のハワイは最高だった。サンダルを履いて目の前のビーチかプールに行き、次の予定を気にすることなく(そもそも次の予定がないのだから)、のんびりと、唇が紫色になるまで、息子と一緒に水遊びができた。

しかも、場所はハワイ。眺めも、気候も、時間の流れ方も日本とはまるで違う。異国情緒をしっかりと味わいながら、シオンの心底楽しそうな笑顔を眺めていると、お腹の底からじわじわと幸福感がわき上がってくる。

それにしても子供は何て素直なんだろう。「せっかくハワイに来たのだから」とか、「しょっちゅう来られるわけじゃないんだから」などというつまらない理由で、行き先や過ごし方を決めたりはしない。

いつでも、いま、ここで一番やりたいことをやろうとする。そして、全身全霊を傾けて楽しみ、くたくたになるまで遊び続ける。疲れ果てて夜は早々にベッドに入り、朝は好きなだけ寝ている。

「パパ、うちに帰ったらちゃんと朝起きるから、ハワイにいるときはずっと寝ててもいい?」

もちろんいいに決まっている。そして、本当のことを言えば、日本に帰ったって、そういう生活をさせてやりたいし、自分も同じような生活を送りたい。でも、そういうわけにはいかないことは5歳のシオンにだってわかっている。

「パパ、来年もハワイに来ようよ」

「よしわかった。これからもときどきハワイに来て、うんと遊んで、うんと寝ような」

まだ、ワイキキのビーチにいるうちから、次のハワイ旅行を心待ちにしている父子であった。

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